新規就農しようとする者にとって、技術習得とその間の収入をどうするのかが、一番の懸案事項です。多くの作物が1年に1回か2回しか収穫できないので、技術習得するにも時間がかかります。その間の生活費確保には、貯蓄を取り崩すか、パートに出るか、もしくは記事にあるように農業生産法人に就職するかになります。
もし、農業生産法人に就職できれば、わりと安定した収入を得ながら技術習得でき、さらに群馬県のように毎月5万円の研修費と最大3万円の家賃補助があれば何とかやっていけるでしょう。
一方、自分で農業を始める場合には、農地の確保、農業機械の購入など初期投資と収穫までの生活費を事前に用意しないとならないけれど、1000万円や2000万円も貯蓄がある人はそう多くないので、最初の数年間の暮らしは収入減と慣れない農作業とで厳しい状況になります。そのような中、群馬県の援助はホント助かりますよね。
ついでに、専業的な農家への支援の他、農的暮らしをする「新兼業農家」育成にも力を貸して欲しいですね。遊休農地の解消には、専業農家の育成という経済性の論理だけでは解決できない部分があるので(例えば中山間地の遊休農地など)、半農半Xなどさまざまな仕事と農業と組み合わせて地域で暮らすという選択も県で支援して欲しいものです。
【2008年10月2日 毎日新聞群馬版】
就農留学:未経験者に研修費と住居費を補助、県が今年度から事業開始/群馬
◇生活困らず夢に近づけた−−会社員から転職、1期生の黒沢さん
農業を始めたくても何をすればよいか分からない−−。実家が農家でないなどの農業未経験者を対象に、県は今年度から「就農留学」事業を始めた。意欲はあるが農地も栽培ノウハウもないという人たちに、農家での研修費と住居費を補助する。県内外の脱サラ組や団塊の世代をターゲットにし、就農者を確保するのが狙い。1期生で会社員から転職した黒沢肇さん(45)の「留学」現場を訪ねた。
黒沢さんが働くのは、約13ヘクタールの農地で30種類の野菜を栽培する農業生産法人「あずま産直ねっと」(伊勢崎市、松村久子代表)。午前8時ごろに出社し、日中は植え付けや収穫、夕方以降は仕分けや出荷などを担当する。作業が長引けば夜10時ごろまでかかる。
黒沢さんは千葉県出身。北海道大学大学院修士課程(畜産)を中退後、大手食品メーカーに就職し、加工食品の生産管理などに携わった。材料調達のため国内外の農場を見て回ったが、機械に適さない大きさの野菜は廃棄するなど無駄が多い消費者側の都合に疑問を抱き、40歳を機に退社。生産者の視点で農業を取り巻く環境を変えていきたいと考えていたところ、東京でPR活動をしていた県の事業が目にとまった。
今年4月の事業開始を半年前倒しして、昨秋にあずま産直ネットへ。さっそくほうれん草のビニールハウス1棟を任され、水やりのタイミングや温湿度管理の難しさ、雑草や虫食いに悩んだ。慣れない作業に1カ月で体重が5キロ減ったという。
給料も会社員時代の6〜7割程度になったが、毎月5万円の研修費と最大3万円の家賃補助は県の負担で「生活に困ることはない」という。「年齢的にも体力的にも不安だらけだったが、農家になる夢に近づけて満足している。まだまだ手探りだが、消費者と一緒に考えながら農業ができる生産者になりたい」と意欲も旺盛だ。
◇若手新規就農者、年間144人−−前年同期比13人減
今年8月までの1年間に新たに農業に参入した若手の新規就農者数は144人で、前年同期より13人減ったことが県の調査で分かった。近年では04年の174人がピークで、県は農業未経験者にも積極的に就農支援を進めていく構えだ。
県技術支援課によると、39歳以下の新規就農者のうち農家の子弟は前年同期比23人減の103人、農業生産法人などで働く雇用就農は同20人増の32人、個人の新規参入は同1人増の7人だった。農家の子弟が大幅に減っており、同課は「県外からの新規就農者をいかに群馬に引っ張ってくるかが勝負」という。
県内農家は高齢化が進み、15年前は約5割だった60歳以上の就農者が現在は約7割。県は「あこがれだけでは長続きしない。真剣な人を後押ししたい」としている。
