2008年08月26日

埼玉県秩父の農業と里山景観を守る遊休農地活用サポーターを募集

 埼玉県では高齢化により遊休地が増加している埼玉県秩父地方の農業と里山景観を守るため、遊休農地の復旧と栽培管理のお手伝いをするボランティア「遊休農地活用サポーター」を募集しています。
 農作業や里山、田舎暮らしに関心のある方はどうぞ。


◆内 容:
 ・草刈り、竹などの木切り、茅などの根の抜き取りにより栽培可能地への復元
 ・復元された畑や田でサポーターが中心となって農作物や花等を栽培管理
 ・復元された畑や田で農家とサポーターが一緒に農作物や花等を栽培管理
◆参加条件
 ・無償ボランティア活動ですので、謝礼、交通費、費用弁償等の支払はありません。
 ・18歳以上で健康な方。
 ・秩父地域の市町へ配布する名簿への登録を了承していただける方。
 ・活動場所まで自らの手段により参加できる方。
 ・負担金 2,000円/年(保険料、切手代など。中途での返金は出来ません。)の支払い 
 ・飲食物、雨具、軍手、作業しやすい服装・靴等は各自用意。
 ・作業に必要な鎌や農具等をお持ちでしたら持参する。
◆募集人数:100人(先着順)
◆応募期間:2008年8月31日まで
◆問合せ:秩父地域遊休農地活用協議会(秩父農林振興センター事業推進部内)
       TEL 0494-25-1230
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2006年03月09日

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その10(朝日新聞多摩版)

2006年3月8日朝日新聞多摩版
 今月9、10の両日、日野市の市立小中学校27校の給食に日野産大豆100%の豆腐がお目見えする。市や地元農家、農協などが共同で取り組む「日野産大豆プロジェクト」。事務局の市産業振興課は「子どもたちに地元農業への関心を持ってもらえれば」という。
 厳しい環境にある都市農業を支える運動の一つに、地域で生産された農産物を地域で消費する「地産地消」がある。同市では、78年から給食に地場産の野菜を採り入れ、学校現場に「地産地消」を導入した先駆けと言われる。学校と農家の結びつきは強い。
 遺伝子組み換え大豆を懸念する市内の栄養士らが「地域でとれた安全な大豆で給食用の豆腐を作れないか」と農家に提案したのがきっかけだった。学校に野菜を納入する小林和男さん(49)ら4人が手を挙げた。03年3月、プロジェクトが発足。当時、市内での大豆生産はほとんどなかった。6月、豆腐に適した「フクユタカ」など、3種類の種をまいてスタートを切った。
 試行錯誤で、最初の収穫は約100キロ。一部の学校の豆腐しかできなかったが、2年目の昨年度は240キロを収穫。初めて全児童・生徒に日野産大豆の豆腐が行き渡った。「市販の豆腐より甘い」と好評だった。
 今年度の収穫は500キロに倍増。小林さんは「協力の輪が格段に広がったから」と感謝する。夏の草取りには、消費者団体、地元の実践女子短大の学生、栄養士、調理員ら100人以上が参加した。
 まだまだ採算がとれる規模ではない。「地元産」へのこだわりと共感、そして、子どもたちへの思いが日野産大豆を支える。
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多摩丘陵の鼓動〜農の風景その9(朝日新聞多摩版)

2006年3月7日朝日新聞多摩版
 都の委託を受け、伝統的な農法によって町田市北部の里山を管理する「町田歴環管理組合」。組合長の田極(たごく)公市さん(67)宅の庭で昨年12月3日、餅つきがあった。
 地元農家の人たちに交じり企業の社員がぎこちなく杵(きね)を振るった。都が企業と連携して進める自然環境保全活動「グリーンシップアクション」のボランティア約30人だ。
 プロジェクトに参加した富士ゼロックスと新日本石油2社の資金と労力によって、長年放置されていた休耕田はよみがえった。餅つきには、収穫したもち米約200キロを使った。都有地なので市場には出せない。大半は地域住民に配り、残りは社員らの腹に収まった。
 プロジェクトは一昨年11月に始まった。
 田極さんらの指導で休耕田の草を刈り、表土をひっくり返し、水路やあぜ道を整えた。土にすき込んだ落ち葉はそのまま肥料になる。田植えは手で行う。小魚やカエルが苗の間を泳ぎ回る。
 富士ゼロックスから参加した佐藤健一さん(56)は「自然のサイクルに合わせた農業の奥深さを知った」と語る。
 里山の風景は、昨年秋に公開された藤沢周平原作の映画「蝉(せみ)しぐれ」の一場面にもなった。同組合が管理する「図師(ずし)小野路(おのじ)歴史環境保全地域」の民有地の谷戸(やと)田で、一昨年春に撮影された。
 「江戸時代そのままの景色」と、スタッフに絶賛されたという。地主の1人、井上統生(つぐお)さん(80)は目を丸くした。「必死で田んぼを守ってきただけなのにね」
 時代遅れとされてきた昔ながらの農業がいま、新たな価値を生んでいる。
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2006年03月07日

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その8(朝日新聞多摩版)

【2006年3月4日朝日新聞多摩版】
 町田市の北部丘陵の一角に、多摩丘陵で「最も里山らしい里山」とよばれる場所がある。約36ヘクタールの「図師(ずし)小野路(おのじ)歴史環境保全地域」だ。
 手入れの行き届いた雑木林。谷戸(やと)の奥まで延びる棚田。約900年前の小野路城跡などの歴史的史跡――。約30年前に都の保全地域に指定され、開発や立ち入りは制限されている。地権者に相続が発生した場合、都が優先的に土地を買い取る。都有地は50%を超える。
 だが、10年ほど前までは荒れ果てた休耕田が目立っていた。減反政策に加え、都が都有地の管理を外部の造園業者に委託していたため、草刈り程度の作業しかされていなかったからだ。
 「地域に伝わる技術を生かして谷戸の自然を復活させたい」。田極(たごく)公市さん(67)ら地元農家が声を上げた。96年、住民十数人で「町田歴環管理組合」を結成、都から管理委託を受けた。
 まず、取り組んだのが放置された棚田の復活。神明(しんめい)谷戸とよばれる一帯の草を刈り、農道や畦(あぜ)、水路、ため池などを雑木林の木材を使って復元した。「伝統的な農業工法にこだわった」と田極さんはいう。
 人の踏み込めなかったようなやぶが、翌年秋には黄金色の稲穂の階段に変わった。最上部のわき水で息を潜めていたホトケドジョウやメダカがため池に姿を見せた。植物の種類も以前の3倍にあたる約140種に。
 神明谷戸の一部は2年前、都の野生動植物保護地区に指定された。
 田極さんは振り返る。
 「遠い昔から培われた農業は人と自然のかかわりを大切にする。人の手が入って、かえって自然が豊かになるのです」
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2006年03月04日

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その7(朝日新聞多摩版)

2006年3月3日朝日新聞多摩版
 大規模な区画整理事業計画が進む稲城市南東部の南山地区。3年前、計画地に隣接する荒れ地が1ヘクタールほどの畑地に生まれ変わった。
 開墾したのは、市内のナシ農家・川島実さん(64)ら「いなぎ里山グリーンワーク」のメンバー。「市民が本格的な里山体験ができる場を」と、地主から約2.7ヘクタールの里山を借り受けた。東京マイコープと提携し、訪れるコープの組合員らに農作業や雑木林の手入れを指導している。
 川島さんは同市議を4期務め引退。南山の開発を巡る地権者と周辺住民の議論に注目してきた。
 「単に『緑を守れ』と訴えても、地権者とすれ違うだけ。実践を通して、里山の自然の成り立ちを知ってもらい、まちづくりにつなげたい」
 川島さんが子どものころ、雑木林は農業の一部だった。落ち葉を肥料にしたり、定期的に木を切り倒して炭を焼いたり。日々の営みを通じて景観が保たれてきた。
 雑木林が利用されなくなった今、下草も木も伸び放題だ。日が差し込まず、ナラやクヌギが育たなくなりつつある。農業の変質が林の荒廃へとつながっている。
 昨年、コープの組合員を中心に約1500人が里山に入った。畑1千平方メートルと雑木林1千平方メートルを共同管理する家族会員制グループ「ファミリエガルテン」も発足した。
 落ち葉を積んでカブトムシ飼育場をつくったが、幼虫がモグラに食べられ全滅。トウモロコシはハクビシンの被害にあった。トラブルはある。それでも、会員で同市在住の長井征二さん(64)は「失敗も含めて新鮮な体験」と満足そうだ。
 都市住民と農家を結びつけ、里山を再生する試みは始まったばかりだ。
posted by 農楽人 at 17:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 里山・多摩丘陵

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その6(朝日新聞多摩版)

2006年3月2日朝日新聞多摩版
 多摩丘陵の東部、稲城市・南山地区は都心から最も近い大規模な里山だ。面積は約90ヘクタール。雑木林の尾根に挟まれた幾つもの谷戸(やと)に、畑が点在する。北側は標高差60メートルほどのがけが切り立ち、上空をオオタカが舞う。
 この里山でも開発計画が進む。一戸建てを中心に3千戸の宅地を整備する。総工費400億円に上る大プロジェクトだ。環境影響評価の手続きは02年秋に終了。地権者約250人でつくる土地区画整理組合準備会が昨年11月、都に組合設立の認可を申請した。
 一帯は市街化区域。笹久保茂・準備会代表(87)は「山林は固定資産税ばかり取られる。高い相続税を払って農地を守ろうとする後継者も少ない。造成してがけ崩れを防いだほうがいい」と事業の意義を語る。
 これまでに、地権者の9割が組合設立に同意したが、それぞれの思いは複雑だ。
 地権者が土地を提供する「減歩率」は68%。がけの下にナシ畑を持つ50代の男性は「農業を続けられなくなる」と同意の判を押さなかった。ただ、「地縁・血縁が強い地域。反対を貫くのは大変」と声を潜める。
 判を押した地権者の中にも、「宅地が売れなければ、借金を抱える」と懸念する声もある。
 南山地区の自然に親しんできた周辺住民は1月、都に57通の意見書を提出した。「オオタカの営巣場所が失われる」「貴重な谷戸の自然を残してほしい」
 一方、準備会は、緑地を拡大する案については「住宅部分が高層化し、買い手がつかなくなる」と消極的だ。
 新旧住民の意見がかみ合わないまま、計画は大詰めを迎えている。
posted by 農楽人 at 17:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 里山・多摩丘陵

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その5(朝日新聞多摩版)

2006年3月1日朝日新聞多摩版
 町田市木曽町の住宅地に囲まれた約40アールの畑地に、縦10メートル・横3メートルほどの細長い区画が短冊のように並ぶ。
 農業、石川公雄さん(66)が経営する体験農園「木曽体験ファームグリーンズ」だ。どんな作物を、いつ植えるかは石川さんが計画。農具や苗も用意してある。
 60組の市民が石川さんの指導を受けながら、この1年間、大根など15種の野菜を育ててきた。収穫は市民が持ち帰る。石川さんは、年間指導料として1組あたり3万円をもらっている。
 昨年3月から始めた。
 「先祖から受け継いだ土地を有効に活用できた」と石川さん。実は、一昨年まで、農業を続けるかどうか迷っていた。体力の衰えから、農作業がきつくなり、農地全体の作付けが難しくなったからだ。
 だが、市街化区域の生産緑地の指定を受けている。誰かが耕作しなければならない。37歳の息子は会社員。毎日手伝うのは無理だ。悩む石川さんに、町田市から体験農園の話があった。
 行政が、農家から土地を借りて運営する市民農園と異なり、体験農園は、農家が経営・指導し、市民が耕す。都内では96年に練馬区が始め、各地に広がっている。
 人気は高い。募集してみると、60区画に217組が殺到した。
 30〜70代の「生徒」は熱心だ。「農業を実践するだけでなく教える楽しみも大きい」と石川さんは語る。収穫が終わっても、8割以上が「留年」を希望している。「ニンジンを成功させたい」「肥料のやり方をもっと教えて」などの注文も。
 「さーて、次は何の種をまいて、どんな指導をしようか」。石川さんは思いを巡らす。
posted by 農楽人 at 17:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 里山・多摩丘陵

2006年03月03日

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その4(朝日新聞多摩版)

2006年2月23日朝日新聞多摩版
 多摩丘陵の西部に位置する八王子市南大沢。
 2、3月を除いた毎週日曜日、大型スーパー前で青空市場が開かれ、野菜にこだわる主婦たちでごったがえす。
 同市上柚木〔かみゆぎ〕の伊藤はつみさん(50)ら、市内の農家の女性が自家製野菜を即売する「ぷりんせすマーケット」。勘定が面倒なので、ほとんどの品が100円という。
 伊藤さんは市内にある「プリンセスクラブ」に所属する。農家の女性約70人が参加する研修と親交を目的とした組織だ。
 クラブが青空市場を始めたのは99年。都南多摩農業改良普及センターが野菜直売の話を持ちかけたのがきっかけだ。京王北野駅前の2坪ほどにシートを敷いてのスタート。その後、八王子駅北口、八日市商店街、南大沢と3カ所に広がった。
 南大沢は、伊藤さんら、上柚木・下柚木地区の農家の主婦3人が中心となって切り盛りする。評判もよく、1日の売り上げは20万円を超える。
 伊藤さんは元銀行員。嫁いでからは夫の重夫さん(55)のシイタケ栽培を手伝っていたが、直売への参加をきっかけに自分で野菜を作り始めた。
 普及センターの指導で、熱帯原産のシカクマメなど、毎年新しい野菜の栽培に挑戦。必ず自分で調理して味を試す。
 市内在住の主婦寺梶モトさん(60)は常連客の一人。「料理法を気軽に聞けるのもいい。安いので買いだめしています」
 伊藤さんたちは「努力した分だけ結果が返ってくる」と、対面販売に手応えを感じている。
 作り手と買い手。信頼に基づいた交流が「プリンセス」たちの野菜直売を支える。
 南大沢の青空市は、4月にまた再開する。
posted by 農楽人 at 22:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 里山・多摩丘陵

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その3(朝日新聞多摩版)

2006年2月16日朝日新聞多摩版
 91年の改正生産緑地法の施行によって、都市の農家は土地を売却するか、生産緑地の指定を受けて農業を継続するか、選択を迫られた。農地を引き継いだ後継者も生き残る道を探す。
 八王子市下柚木(しもゆぎ)2丁目の住宅地に立つ、マンション風の鉄筋3階建て。実は住居は3階のみで、1、2階はシイタケの栽培場だ。コンクリートの床下に温水を通して室内温度を調整、年間1トン以上出荷している。
 「相続税の軽減と生産効率を考えたらこうなりました」。家主の勝沢実さん(44)が、びっしり並んだほだ木を前に説明してくれた。
 一帯は多摩ニュータウンの市街化区域。勝沢さんの父親の代に、区画整理事業で土地を売却するなどして農地は激減。残ったのは生産緑地30アールほど。勝沢さんは、シイタケのハウス栽培から、ハイテクの施設栽培への転換を図った。
 ただ、コンクリートで覆われた施設は、農地として認められない可能性が高く、生産緑地に適用される相続税の猶予が受けられない。
 居住用地にかかる相続税が8割減額されることに注目。93年に完成したのが住居と栽培場を一体化したこの「施設」だ。
 生産緑地ではブドウを栽培、棚の下でシイタケの苗床となるほだ木を発酵させている。
 父親は4年前に亡くなったが、何とか農地を守ることができた。
 だが、周辺の農家はほとんど残っていない。シイタケ市場も厳しい。安価な中国産に押され、国内産の価格は低迷する。
 勝沢さんは品質にかける。「栽培場の換気や温度調節をこまめに行い、風味や歯ごたえにこだわる人の需要に応えたい」
posted by 農楽人 at 22:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 里山・多摩丘陵

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その2(朝日新聞多摩版)

2006年2月15日朝日新聞多摩版
 04年7月、町田市能ケ谷(のうがや)町の新興住宅地「千都(せんと)の杜(もり)」で、「能ケ谷東部土地区画整理組合」の解散総会が開かれた。その1カ月前、初代理事長の陶山(すやま)金造さんは79歳で亡くなった。
 「体力よりも気力がなえてしまったようでした」と長男の慎治さん(42)は話す。
 区画整理事業の旗振り役だった金造さんは、熱心な「農家」でもあった。朝早くから農作業に出かけ、果樹や野菜を育てる手間をいとわなかった。
 それが、造成事業が進み、農地に入れなくなると、「何もやる気がしなくなった」と、酒に浸り、めっきり衰弱した。
 父の死後、慎治さんは、倉庫から大量の農具を見つけた。唐箕(とうみ)など戦前からのものも。農具を見つめていると、寡黙だった父の思いが伝わってくるようだった。
 「相続税の問題さえなければ、父は農業を続けたかったのだ」
 慎治さんは、土地の売却代金や借入金を元手に、残った土地にデイサービス施設などを備えた特別養護老人ホームをオープンさせた。広くはないが畑もあり、介護予防も兼ねて入所者が農作業に取り組む。
 多少、身体が不自由でも喜んで畑に向かうお年寄りたちに接し、「進む道は異なったが、少しは父の思いに応えることができたかな」とも思う。
 里山の保全を求めて区画整理に反対した住民とは疎遠になっている。ただ、父の姿を見てきて、伝えたいこともある。
 「農地は市街地にこそ必要なのに、税制のために手放さざるを得ない現状をわかってほしい。後継者のいない都市農家は孤独です」
posted by 農楽人 at 22:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 里山・多摩丘陵

2006年02月14日

多摩丘陵の鼓動〜農の風景その1(朝日新聞多摩版)

 朝日新聞多摩版で町田の丘陵などの里山や農業の様子について連載が始まった。
2006年2月14日朝日新聞多摩
 小田急線鶴川駅の北東約700メートルの高台に位置する、町田市能ケ谷(のうがや)町の「千都(せんと)の杜(もり)」。ゆったりとした、真新しい住宅が700戸ほど並ぶ。「緑の楽園」と銘打って02年秋から分譲が始まった。
 かつて、30ヘクタールにも及ぶ里山「能ケ谷の森」だった。新しい街の一角にある特別養護老人ホーム「悠々園」理事長の陶山(すやま)慎治さん(42)は農家の長男として、ここで生まれ育った。
 「子どもの頃は、どこまでも田畑と雑木林。クワガタ捕りが夏の日課だった」
 能ケ谷の森を宅地に変える区画整理事業が持ち上がったのは92年。準備会ができ、慎治さんの父金蔵さんが代表に就いた。当時、慎治さんは都内の会社に勤めていた。
「農業が好きだった父は、何とか土地を残したいと模索していた」と振り返る。
 困ったのは相続税だ。91年、改正生産緑地法が施行された。市街化区域内では、30年間の営農を約束し農地を登録しない限り、宅地並みの課税を受けることになった。
 山林・農地約2ヘクタールにかかる税を計算してみた。到底払える額ではない。父子の結論は「土地を売るしかない」だった。
 その後、森を憩いの場にしてきた周辺住民が、都や町田市に里山全体を買い取るよう、要請する活動を始めた。代表の一人、桑原紀子さんは「最大の問題は土地税制。農家と対立する気はなく、区画整理以外の方法を共に考えるつもりだった」と話す。
 都や市は動かなかった。金蔵さんは「死活問題」として、区画整理の実現を主張し続けた。
 事業は97年に着工。
 雑木林は、みるみる削られていった。
posted by 農楽人 at 21:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 里山・多摩丘陵

2005年10月24日

町田市北部で谷戸再生活動がスタート

◆谷戸の再生活動スタート

 町田市北部丘陵の谷戸を再生する第1回目の活動が10月22日(土)始まった。
 この地域は旧住都公団が区画整理事業を実施するため買収していた地域。ところがこの経済情勢で採算を理由に中止となった。旧住都公団に売られた谷戸や里山は荒廃したまま放置されてしまった。そこで、町田市は、旧住都公団が買収した谷戸や里山を買い取り、再生し、農と緑の街づくりのモデルに育てようと考えている。市は、再生にあたり市民の力を活用することにした。
 この日、肌寒く小雨の降りそうな天気の中、市の呼びかけに応え小山田緑地の駐車場に集まったのは、約20名。その他に事務局の市役所、コンサル、市内で里山保全に関わっている人など計30名ほど。
 市役所の担当者から本日の予定が説明される。今回の谷戸再生事業の場所である「奈良ばい谷戸」を見学し、その後、隣接している図師小野路歴史環境保全地区で里山の再生活動をしている場所を見学。荒れている谷戸の現状を確認し、再生後の谷戸イメージを持つことが目的。図師小山田歴史環境保全地域で活動している町田歴環管理組合の人の案内で出発。
 道路から2〜3枚までの田んぼは稲の刈り取りも終わり、きちっと管理されている。よく見るとなんと生産緑地ではないか!こんなところまで市街化区域とは。生産緑地のほうが管理が行き届くというのこと?
 なにか釈然としないまま進むと、奥はもう荒れた田んぼ。案内の人によると20〜30年は手入れがされていないと言う。

奈良ばい2.JPG

 ススキやアシが生え、柳などの木もある。しかし、昔の畦や水路が残っているので、草を刈ればずいぶん田んぼらしい感じに戻るような印象を受けた。市役所の人によると、手始めに手前の2〜3枚の田んぼ400uほどを再生するとの説明。
 さらに奥に進むとずっと谷戸の跡がつづく。周辺は暗い林。笹と竹が密生。山にも手入れが必要と実感。予想以上に広い面積。木や竹が生い茂り全体が見渡せないからなおさらそう感じるのかもしれないが。
 その後、万松寺の谷戸田への向かう。万松寺はさすがに草ぼうぼうという状況ではなく管理がされている。しかし実際に田んぼとして稲が育てられているのは一部のみ。ちょうど稲刈りをしていたが、長靴でぬかりながらの大変な作業。谷戸は作業性が悪く、収量も低いため耕作放棄された理由を垣間見た思い。

万松寺1.JPG


 昼食後、図師小野路歴史環境保全地区の指定に関わる様々な経緯と町田歴環管理組合の設立から今の活動までについて説明を受けた後、五反田へ向かう。途中の雑木林で対照的な光景を目の当たりにする。向かって左側は暗く荒れた林。一方右側は下草刈りされた林。説明では暗い林は民地、明るい林は都有地で町田歴環管理組合が今年から管理を受託して管理している林との説明。
 五反田は一面田んぼ。すばらしい谷戸田。東京とは思えない光景。ほとんどが田んぼとして利用され、今は稲刈りが終わり、刈り取られた稲がはざ掛けされている。民有地のまま米作りが行われているこちらの地主たちの心意気に敬意。
 最後に神明谷戸に。ここも米作りが行われている。町田歴環管理組合が管理しているのは右奥の部分。組合の説明によると谷戸を再生したので多様な生き物がよみがえったことから特別管理地域に指定されたとのこと。植物も昔の田んぼには180種いたのが、荒廃したときは40種まで減った。今は130種まで戻ったそうだ。
 でも、谷戸の部分がすべて米作りをしているわけではない。草を刈っているだけの部分も多い。また代かきをしただけの所などいろいろ。都にすべて稲作りを委託する費用がないからとの説明。さらに、左奥の谷戸はまだ手入れがなされていない。面積は同じくらいあるらしい。
 手前の田んぼは民有地で地元の農家が稲作をして今でも管理しているらしい。
 参加者は、手入れの行き届いた谷戸を見学し、再生後イメージを抱いて、次の再生活動に向けて意欲はますます高まったのであった。
posted by 農楽人 at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(1) | 里山・多摩丘陵
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